「ミラクル・ヤン」「魔術師ヤン」とヤン・ウェンリーが呼ばれるようになったのは、この第7次イゼルローン攻防戦で初めてイゼルローン要塞が攻略されたことからでしょう。
帝国・同盟両陣営に衝撃を与え、戦局を大きく変えたこの戦いについて、詳しくみていきましょう。
過去6回の力技での攻略を捨て、内部から制圧するという奇策で要塞を占拠してしまいました。
味方の血を一滴も流さずに難攻不落の要塞を攻略するという快挙をヤンは成し遂げました。
銀河英雄伝説において、大きな戦いのひとつです。
【筆者の情報】
私は小学生の時に銀河英雄伝説(石黒版)のアニメをみて以来、大ファンになった41歳(2023年現在)のサラリーマンです。
結婚して子供ができ妻が持っていた「Amazon Prime Video」のアカウントを観ている時に「あれ?銀英伝が見放題やん!?」となり、再び見返し始めました。
同時に「銀河英雄伝説 die neue these」の劇場公開もはじまり、銀英伝の世界にまたどっぷりはまった人間です。
銀河英雄伝説はアニメとしての楽しさに加え、キャラクターの名言や生き方、考え方など私の人生の指針となっているアニメのひとつです。
銀河英雄伝説がはじまって40年。
あなたも若い時に銀英伝の世界にはまったひとりではないでしょうか?
また一緒に銀英伝の世界を旅しましょう!
「銀河の歴史がまた1ページ。。。」
イゼルローン要塞が初めて攻略された第7次イゼルローン攻防戦
過去6回のイゼルローン攻防戦。
いづれも同盟軍の大艦隊による攻撃が行われてきましたが、難攻不落のイゼルローン要塞を落とすことはできませんでした。
駐留艦隊と要塞主砲・トールハンマーの餌食となってきました。
第7次イゼルローン攻防戦の概要
銀河帝国 | 自由惑星同盟 | |
司令官 | シュトックハウゼン大将(要塞司令官) | ヤン・ウェンリー少将(艦隊司令官) |
ゼークト大将(駐留艦隊司令官) | シェーンコップ大佐(陸戦隊司令官) | |
作戦参謀 | オーベルシュタイン大佐 | グリーンヒル中尉(副官) |
ムライ准将(参謀長) | ||
パトリチェフ大佐(副参謀長) | ||
艦隊 | イゼルローン駐留艦隊 | 第13艦隊 |
フィッシャー准将(艦隊副司令官) | ||
ローゼンリッター連隊(陸戦隊) | ||
艦艇数 | 15,000隻 | 6,400隻 |
ヤン・ウェンリーがとった戦術
イゼルローン要塞攻略を命じられたヤン・ウェンリーは、過去6回の攻略失敗の反省をもとに、外部からの力技による攻略は無理であるという結論に達していました。
そこで、「要塞を内部から制圧する」という基本戦略を打ち出すことになります。
そこで選ばれたのが、ローゼンリッター連隊です。
シェーンコップ率いるローゼンリッター連隊が帝国軍人に扮して、イゼルローン内部に潜入して要塞指令室を占拠するという作戦を実行することになるのです。
第7次イゼルローン攻防戦の経過
第7次イゼルローン攻防戦の経過について順に説明します。
イゼルローン要塞攻略に向けたヤン艦隊の創設
まずはヤン艦隊(第13艦隊)の創設について説明しておきましょう。
アスターテ会戦でラインハルト艦隊と互角に渡り合い、全滅をまぬがれた功績で少将に昇進し、第13艦隊が創設され、初代艦隊司令官に任命されました。
これはヤンの才覚を高く評価するシトレ元帥(統合作戦本部長)の狙いがあったわけです。
アスターテで大敗したこともあり、シトレ本部長の発言力も弱くなり、国防委員長であるヨブ・トリューニヒト派閥のますますの広がりをみせていました。
ここで大きな戦果をあげておかないとシトレ本部長の再任は見込めないことから、ヤンにイゼルローン要塞攻略を任せたわけです。
作戦行動
作戦は極秘に進めたいことから、創設されたばかりの第13艦隊の軍事演習という名目で出発し、遠回りをしてイゼルローン回廊に入りました。
イゼルローン要塞に近づいたところで、妨害電波を出し、囮の艦隊を用意して、敵に同盟軍の接近を知らせることで、索敵のため要塞隆駐留艦隊を出撃させます。
駐留艦隊が要塞から遠ざかったことを確認して、シェーンコップ率いるローゼンリッター連隊が帝国巡洋艦にのり、ヤン艦隊に追われる形でイゼルローン要塞に接近しました。
作戦はうまくいき、味方と認識した要塞司令部はシェーンコップ達を要塞内に迎え入れます。
シェーンコップはここでミュッケンベルガー元帥の指令で同盟軍の情報を収集していた工作員フォン・ラーケンと称して、「同盟軍がイゼルローン要塞を無力化し、回廊を突破する技術を考え出した」と言って、至急に司令官に合わせるよう言うわけです。
それは一大事だということで、ほとんどのチェックなしで、指令室に入ることに成功したシェーンコップ達は、要塞司令官シュトックハウゼン大将を人質にとることに成功。
命の惜しいシュトックハウゼンの命令であっさり降伏してしまうのです。
苦し紛れにシュトックハウゼンの部下が要塞機能を凍結しますが、シェーンコップ・リンツ・ブルームハルトの3人であっという間に制御室を制圧して、機能を回復し、ヤン艦隊を迎え入れることに成功しました。
駐留艦隊が戻ってくるも、要塞を占拠したヤン達によるトールハンマーをくらい蹴散らされてしまいました。
イゼルローン要塞が攻略できた理由
ヤン艦隊は味方の血を一滴も流さずにイゼルローン要塞を奪取したわけですが、なぜこのような芸当ができたのでしょうか。
ヤンの見事な戦術
まずはヤンの見事な戦術が挙げられます。
過去6回の失敗を糧に、内部からイゼルローン要塞を制圧するという基本戦略を持ったことが大きなポイントになると思います。
ローゼンリッター連隊の見事な作戦遂行能力も大きな要因となりますが、出自と歴史ゆえに多くの艦隊から敬遠されていたローゼンリッター連隊の信頼を獲得したヤンの器量も勝因のひとつと言えます。
帝国側の将兵がしょぼすぎた
イゼルローン要塞の帝国側の将兵がしょぼすぎるということも要因のひとつでしょう。
イゼルローン要塞は難攻不落で無敵であるという先入観から、あっさりと変装したローゼンリッター連隊を指令室へ通してしまいました。
シェーンコップも言っていましたが、ほとんどノーチェックで指令室に行けてしまうほどのずさんな管理体制は、難攻不落の要塞であるという油断が生んだものでしょう。
そして、シュトックハウゼン大将のしょぼさもひどいものでした。
自分の命おしさに、あっさりと降伏を受諾してしまうなど、イゼルローンが失陥することの意味が理解できていたとは到底思えませんでした。
イゼルローン要塞が攻略された後の影響
イゼルローン要塞が攻略されたことで、帝国・同盟ともに大きな影響が出てきます。
また今後の物語への影響も計り知れないものになっています。
両陣営の戦略構想が変わる
帝国軍は同盟領へ侵攻するための唯一のルートをなくしたことになります。
従って、今後は難攻不落と言われたイゼルローン要塞の攻略から始めないといけません。
軍事戦略の大きな軌道修正を余儀なくされることになります。
一方で、同盟は帝国軍に対して圧倒的に有利な立場になることになります。
ヤンやシトレなどは、イゼルローン要塞を攻略することで、帝国軍に対して講和条約を結ぶ土台にしたいと考えているようでした。
しかし、そうはなりませんでした。
帝国三長官の権威失墜によるラインハルトの権力強化
イゼルローン要塞失陥の衝撃は、帝国に大きな衝撃を与えました。
イゼルローン要塞は絶対に落ちないため、帝国側は常に攻める側だったのですが、今後は攻められる側に回るということを意味します。
帝国三長官はそろって辞表を皇帝に提出します。
ラインハルトの進言で三長官は留任しますが、結果としてラインハルトの帝国内での権力を強化することに繋がりました。
同盟崩壊への起点となってしまう
シトレ元帥やヤンの思いとは裏腹に、このイゼルローン要塞の攻略成功は、和平への土台になることはなく、さらなる戦争の拡大へと繋がっていくことになります。
イゼルローン要塞を手に入れたことで、帝国領内への侵攻が可能になった同盟軍は、帝国へ大規模な逆侵攻を計画することになります。
そう、同盟軍のほとんどの宇宙艦隊を失ってしまったアムリッツァ星域会戦です。
同盟崩壊への起点となってしまうわけです。
なんとも悲しい現実です。
まとめ
本記事では、初めてイゼルローン要塞は攻略されてしまった第7次イゼルローン攻防戦について、詳しく解説していきました。
戦局に大きな影響を与えたイゼルローン要塞の攻略成功
難攻不落のイゼルローン要塞の攻略は、外部からではなく、内部から制圧する。
この考えのもと、ヤン艦隊はシェーンコップ率いるローゼンリッター連隊と協力し、イゼルローン要塞を味方の血を一滴も流さずに落としてしまいました。
イゼルローン要塞の攻略成功は、帝国・同盟両陣営に大きな影響を与えました。
シトレやヤンの抱いた平和への希望となるはずの戦いでしたが、その思いとは裏腹に同盟崩壊への足掛かりとなってしまうのです。
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