こんにちは。
仕事(エンジニアとして工場勤務)のストレスによるメンタル不調を経験したことから、不動産投資をはじめたes-nakamuraです。
リスク管理の実践編をお伝えしています。
先にお伝えした各リスクに対し、それぞれのリスク項目について、評価・検討をしていきます。
以降は、先にお伝えしたリスク管理の一般的な手法を各リスク項目に対し、個別に順序だてて、お話ししています。
「収益性が悪化するリスク」について、順番に説明しています。
「金利上昇リスク」
- 物件を購入する際に利用する銀行ローンの金利が上昇することにより、月々のローン返済が増加することで、収益が減少してしまうリスクです。
設定した金利の形態にもよりますが、金利は一定期間で変動しますので、長期的な運用においては、避けては通れないリスクです。
家賃収入から銀行ローンを返済していきますので、金利が上昇すれば、利益が減少し、減少すれば、利益が増加します。
リスクの評価
危険な状態の抽出と予測
これが、「金利上昇リスク」の危険な状態の抽出と予測となります。
金利の変動は大幅に上がることは少ないですので、緊急的な事態に発展することはありませんが、採算性が悪化するリスクとなります。
長期的な視点でみれば、上昇する可能性は十分ありますので、本章で確認しておきましょう。
金利の仕組み
金利は我々のような一般人には難しい話ですので、少し復習をしておきましょう。
銀行も事業を継続するには利益が必要ですので、いわば銀行の利益ですね。
金利はどのように設定されるのでしょうか?
まず、銀行も貸すためのお金を調達する必要があります。そのお金を調達する先が「日本銀行」です。
いわば、銀行のための銀行です。
「日本銀行」がお金を貸す時も当然、金利をかけます。
これが「政策金利」と言われるもので、日本国内の経済活動を円滑に行うために、この金利を調整することが「日本銀行」の大きな役割です。
従って、銀行も日本銀行に利子をつけて、お金を返さなければなりません。
ということは、銀行がかける金利は、この「政策金利」以上の金利を設定することになります。
一方で、法律(利息制限法)により設定できる金利の上限が決まっています。
この範囲で銀行がそれぞれに金利を設定しています。
基本的に金利の決定は、貸す側と借りる側の2者間の合意で決定されるものですが、基本的に銀行からの提案を受けることが多いと思います。
【 金利の決定要素 】
- 「金融市場の情勢を含めた政策金利」
- 「借りる側の信用度(担保の有無やどれだけお金を持っているか)」
- 「借入金額」
- 「返済期間」
- 「銀行の経営状態(資金繰りや需要)」etc.
銀行としては、金利を高く設定すれば、利益は上がりますが、顧客が他の銀行を選択する可能性があるため、そのあたりを考えながら設定していると思います。
「借り手の信用度」が高い場合は、金利は低くなります。
返してもらえないリスクが低いためです。
信用度が低い場合は、金利は高くなります。
これは、もしも返済が出来なかった場合に備え、損失を少なくするためだと思います。
また、「返済期間」に関しては、期間が長いほど金利は高くなります。
貸している期間が長ければ、その間に貸した人に経済的な変化が起こる可能性が高くなるためです。
金利が上昇する理由としては、日本銀行の「政策金利」が上昇した場合が挙げられます。
日本銀行は、景気の動向(インフレとかデフレとかの貨幣価値の変動)に合わせて、金利を設定し、お金の流れ方を調整していきます。(2か月に1回会合で見直される)
日本銀行の金利が上がれば、各銀行が日本銀行に払う利子も増加するので、必然的に我々に貸し出すお金の金利も上げてきます。
また、日本銀行の金利の変動がなくても、銀行の経営状態(資金繰り)や需要(借りたい人が多くなった場合は上がります)に応じて、変動させる場合もあると思います。
金利には大きく2種類の分類があります。「固定金利」と「変動金利」です。
「固定金利」
- 返済期間中ずっと同じ金利
- 「全期間固定」するものと「一定期間固定」するものがあります。
- 「10年国債の利回り」(長期プライムレート)を基準に設定
- 一般的に変動金利よりも高くなります。
「変動金利」
- 一定期間で金利の見直しを行うもの
- 住宅ローンの場合は、5年で設定
- 「日本銀行の政策金利」(短期プライムレート)を基準に設定
支払利息の計算方法
支払利息の計算方法は、以下の式で表せます。
- 支払利息=ローン残高(借りたお金)×金利(年)×借入期間(返済期間)
- 金利=支払利息/(ローン残高×借入期間)
分割で返済する場合は、全支払利息を借入期間(支払回数)で分割すれば、月々の支払利息となります。
しかしながら、ローン残高は月々減っていきますので、残高の減少に合わせて計算されていくこととなります。
分割で返済する場合は、「借りたお金+支払利息」を分割で毎月返済していくこととなります。
危険度
「危険度」の評価に対しては、以下のポイントで評価していきましょう。
- 「今後の金利がどの程度まで上昇する可能性があるか」
- 「所有する物件の収益度」
- 「あなたの経済的余裕」
「金利の上昇可能性」は、世間で出ている予測を参考にしましょう。
この収益度は、金利が上昇しても収益が赤字にならないなら、許容できますし、赤字になるようなら、少々危険度が上がると考えてもらえば良いと思います。
金利の上昇に伴って損失が出た場合、あなた自身が許容できるかという指標です。
以下のように分けるとしたら、「危険度」の評価はとうなるでしょうか。
- 金利の上昇がほぼない.又は、下がる傾向である。
- 物件の月々の収益が黒字であり、金利の上昇によるローン返済額が上昇しても、赤字とならない。
- 赤字となった場合でも損失を十分にカバーできる余裕がある。
- 金利が上昇傾向である。
- 物件の月々の収益がほぼなく、金利の上昇によるローン返済額が上昇すれば、赤字となる。
- 赤字となった場合でも損失を多少はカバーできる余裕がある。
- 金利が上昇傾向である。
- 物件の月々の収益がすでに赤字である。
- 赤字となった場合の損失をカバーすることは生活を圧迫する。
【 私の場合 】
4つの物件全てで、危険度「低」(1点)です。
6年の実績で金利の変動はありましたが、下がることもあれば上がることもありました。
それらの変動に伴い、赤字になることもありましたが、生活に影響することはありませんし、特に問題はありませんでした。
発生確率(可能性と頻度)
「発生確率」ですが、今回の場合は、以下の2項目で評価してきましょう。
- 「金利変動の頻度」
- 「金利が上昇する可能性」
「金利変動の頻度」に関しては、ローン契約時の形態で決まります。
全期間の固定金利で契約していれば、金利の変動はないため、頻度はなしとなり、発生する可能性はなくなります。
期間固定金利や変動金利の場合は、その期間に応じて、頻度が決定します。
「金利が上昇する可能性」については、金利変動のタイミングで上がるか、下がるかです。
契約時の金利から上がるかどうかで評価すればよいと思います。
しかしながら、これは予測することが非常に困難ですので、直近の金利の動向で考えれば良いと思います。
以下のように分けるとしたら、「発生確率」の評価はどうなるでしょうか。
- 固定金利(全期間)
- 金利の変動がなし 又は 減少(銀行の金利・10年国債の利回り)
- 固定金利(期間限定)及び変動金利(長期)。
- 金利の変動が少し上昇傾向(銀行の金利・政策金利)
- 変動金利(短期)。
- 金利の変動が上昇傾向(銀行の金利・政策金利)
【 私の場合 】
変動金利(短期)での契約が多いですが、最近の金利の変動は低いため、危険度「中」(2点)となります。
あなたにとっての影響度
今回の評価において、私の場合は、「危険度」(1点)×「発生確率」(2点)=2点となり、危険は低く、問題ないレベルです。
あなたにとっての影響度を評価してみてください。
- 9点 :超ハイリスク(超危険)
- 6点:ハイリスク(危険)
- 3点-4点:ミドルリスク(注意)
- 1点-2点:ローリスク(問題ない)
リスク低減対策の検討
リスク対策の検討①(危険度を下げる対策)
金利の動きは、あなたではどうにもできないため、金利の変動に対する対策は打てません。
それ以外のあなたのできる対策を実施していきましょう。
「危険度を下げるための対策」はすなわち、「赤字にならない収益性の高い物件の選択」と「予備費の確保」になります。この方法について、対策案を挙げてみます。
新築物件の場合は、なかなか難しいところではありますが、収益性の高い物件を購入して運用する対策です。
大きな利益を生み出す必要はありませんが、金利の上昇がある程度カバーできるくらいの余裕は欲しいですね。
収益のある物件を運営しておけば、金利が上昇しても赤字とならないようにできます。
少なくとも最初から赤字となっている物件の選択は極力避けましょう。
「ローン返済リスク」や「空室リスク」と同様の対策となりますが、このような事態に備えて予備費をプールしておくという対策は有効です。
「空室リスク」と同じ目的で予備費を蓄えるようにしておけば、このような事態になった時でも役に立ちます。
また直接的な対策とはなりませんが、金利の動向は定期的に確認するようにしましょう。
借りている銀行の金利の状況、政策金利etc.です。
リスク対策の検討②(「発生確率を下げる対策」)
次に、「発生確率を下げる対策」について検討していきます。
「金利上昇リスク」における「発生確率を下げる対策」です。
今回の対策においては、銀行ローンの金利形態の選択がポイントです。
というか、これでほぼ決まります。
選択可能な場合、全期間固定金利を選択すれば、金利上昇リスクはなくなります。
しかしながら、金利が高くなるため、採算性が悪化します。
固定金利を選択しておけば、このリスクで悩まされることはなくなります。
変動金利を選択した場合でも長い期間同じ金利で返済する形態をとれば、頻度を大幅に減らすことが可能です。
また、「短期プライムレート(政策金利基準)」と「長期プライムレート(10年国債利回り基準)」が選択できる場合もありますが、この時に「長期プライムレート」を選択しておけば、変動が少なくなります。
私の経験で、ある物件を購入する際にプライムレートを選択することができたのですが、当時は金利のことはよく分からず、目先の利益に囚われて短期プライプレートを選択したことがあります。
少々、反省しています。
(不動産会社の人が長期プライムレートにした方が良いですよとアドバイスをくれていました。)
今のところ、その物件で金利の上昇は発生していませんが、後悔しています。
リスク対策実施後の再評価
上記に示したリスク対策のうち、あなたに実施可能で有効な対策を打っていきましょう。
リスクを下げるためにできる対策は全て打つことが原則です。
また、あなたが他の方法でリスクを下げることができそうな対策があれば、それも実行してください。
それを踏まえ、リスク対策前に評価した点数を改めて見直していきます。
【 私の場合 】
「危険度を下げる対策」については、少し収益に余裕がありますし、金利が少しばかり上昇しても問題は発生しません。
「発生確率を下げる対策」については、既に契約してしまっているので、どうにもなりません。
従って、対策後の評価も対策前と変わりません。
あなたにとっての影響度の再評価
リスク対策を実施した後の対策後のリスク評価を実施します。
上記に書いた通り、評価結果は対策前と同様となります。
金利の変動は何度か経験していますが、そこまで大きな採算性の悪化はなかったため、今のところは問題ないと思っています。
残留リスクと継続的なリスク低減対策
さて、「金利上昇リスク」に関しては、過去に何度か経験していますが、長期的にみれば、現状の対策で許容できるため、問題ないと考えています。
それでは、「残留リスク」に関して、考えていきましょう。
考えられるリスクとしては、以下の項目があります。
- 好景気による金利の大幅上昇
これらのリスクにどう対応していくかを考えていきます。
今までのお話しの中で分かった方もおられると思いますが、金利は変動し続けるため、常に変化しています。
経済状態によっては大幅に上昇する可能性も秘めています。
それを踏まえた上で継続的な対策を実施しましょう。
残留リスクに対する継続的な対策としては、以下が挙げられます。
- 金利の定期的な確認
- 予備費の継続的な確保
- 繰り上げ返済の実施による支払利息の低減
継続的に予備費を確保することで金利上昇の際の余力を確保していきましょう。
また、金利を定期的に確認し、動向を把握するようにしておきましょう。
③繰り上げ返済の実施は、金利の変動そのものに対する対策ではありませんが、元本を減らすことで、支払利息そのものを減らし、収益性を上げる対策です。
余力があるようなら、ご検討ください。(金利が下がるわけではありません。)
あなたにとっての危険度の判定
さて、いかがだったでしょうか?
「金利上昇リスク」に関して、「怖いと感じること」を明確して、それを点数付けし、対策を考えることで、何が危険なのかが分かりやすくなりましたか?
「金利上昇リスク」を評価し、打てる対策は考えたが、やはり自分には怖くて手が出せないと思うのであるならば、現段階での不動産投資はやめておきましょう。
人によって状況は様々です。その判断をするための材料でもあります。自分にとって危険だと感じることはする必要はありません。
金利は常に変動しているものですが、近年の傾向では低い水準で推移していますし、いきなりどんと上昇することもありませんので、そこまで過敏に警戒する必要はないと思います。
本ブログでお勧めしている区分築浅物件の場合、採算性を重視していませんので、あまり気に留めてないですが、採算性が重要である方はしっかりと調査・確認をしてください。
ローンは毎月減っていきます。
返済期間が完了すれば、このリスクはなくなります。
そこまで長いですが、頑張りましょう。
まとめ
- 金利は常に変動していますので、動向を監視するようにしましょう。
- 金利上昇リスクを少なくするポイントはローン契約時の選択で、ほぼ決定しますので、よく検討するようにしてください。
< 以上 >
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